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『どうせ死ぬ この世は遊び』中田考著を読んだ。

『どうせ死ぬ この世は遊び 人は皆 1日1講義1ヶ月で心が軽くなる考えかた』中田考





イスラームの立場から現代日本を切る

おもしろい本であった。イスラームの立場から、現代社会を見て、非常識に思われることを、鋭くついている。


読みながら、爆笑してしまう。そういった箇所が、多かった。人間が作った法律など、たかが人間が作ったものにすぎないのであって、神の裁きとは何の関係もないものである。だから、気にすることはない。まあ、現世で、裁かれて苦労する、ということは有りえますが、それも、やはりたかだか現世のことにすぎません。


という「論理」であるから、最強である。


腹が減ったらコンビニに行っておにぎりを食べればいい

そして、繰り返される教えとして、「腹が減ったらコンビニに行っておにぎりを食べればいい」というものがある。これが、パワーのある教えだ。


コンビニに行って、「お金を払って」というのではないのが肝である。コンビニで金を払わずに食べればいい。捕まったら、そのあとも、食べることができるでしょう。生活保護も受給できます。


だから、仕事を、いやだったらやめればいい。という理屈になる。


これを聴いていて、でも「法律を犯すのは…」と少しひっかかるところがあるのは、それは、著者によれば、現代社会に「洗脳」されているからなのである。


現代日本人の「洗脳」を笑う

著者は、現代人の「~しなければならない」という「洗脳」について、イスラームの神への信仰の視点から、常識はずれであることを説く。このことに、まずは効用があって、現代日本の常識の範囲内に生きる我々にとって、この社会から、一定の距離を取ることができ、それゆえに読みながら、「笑う」ことができるのである。


酔生夢死

ほかには、「ゲームをしよう」という話があり、著者の知人が、栄養ドリンクだけで、三日三晩寝ずにゲームをして、光りを見て倒れたことがあることを挙げ、そのまま死んでいてもいいのである」、と書いていたのは、爆笑した。「酔生夢死」と言う言葉があって、何の価値のあることもせず、ただ一生を終えるということだ。それでも別にいい、と著者は言う。そもそも、人間なんてものに、価値などないからだ、というのである。このことは、「補講」における、人間にそもそも「権利などない」ということとつながってくる。


寄付をしよう

私がこの本を読んでいて、感心し実践したいと思ったのは、「STEP5 お金なんてあげてしまおう」のところである。イスラームの文化では、お金は貯めずに、困っている人にあげるということだ。ここから、現代日本人にも、貯金をせず、人にお金を「寄付」することをすすめている。「投資」というばあいも、株に投資と言ったものでは駄目だ、と話す。ここが、おもしろかった。


私もNISAなどに手を出しているので、考えさせられるところだった。というのも、「投資」の場合、お金は、設けている一部の企業のもとに集中してしまうからである。これでは、格差が拡大するだけであるからである。そうではなく、困っているところへお金を流すことをしよう、ということだ。


共同体への貢献としての寄付

内田樹の『街場の米中論』においても、「自由」と「平等」だけでなく、共同体への「友愛」のある行動を積極的に行うことを説いていた。中田考も、「共同体」へ、直接的に、お金を渡せばよい、と話すのである。お金を自分で貯めるのでも、企業へ投資するのでもない。そうではなく、困っているところへ、お金を渡すのだ。例えば、今世界で戦争が起こっているウクライナ。パレスチナ地域などが挙げられる。日本だと、能登半島がまずは思い浮かぶだろう。


世界の危機への義務

グローバル化した世界で、われわれ日本人は「恩恵」を受けている。それならば、グローバルな危機に対して、救いの手を差し伸べる「義務」があるはずだ、と中田は話している。ここは、つよく納得させられた。そして、世界の危機に対して、どのように寄付していくか。それは、日ごろから、共同体へと参与していなければならないと話す。そうでなければ、やり方もわからないし、だまされてしまう可能性があるからだ。


ここのところは、私も何か、してみたいと思った次第である。





 
 
 

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